私の婚約者には好きな人がいる
高辻本社前に到着すると、大きく高いビルを見上げた。
オフィス街でも一番立派なビルは眺めているだけで首が痛くなるくらいだった。
「すごいなぁ」
逃げたい気分になったけれど、頼まれた物を渡さずに帰るわけにいかず、ビルの中に入った。
スーツを着た人達が颯爽と歩き、忙しそうにしていた。
こんな所に毎日、恭士さんは働いているんだと思うと、なんだか不思議な気持ちだ。
屋敷で知っている恭士さんは野菜が嫌いで、見栄っ張りで、子供っぽいところのある人だけど、ここで見る顔はきっと違う。
「なにか御用でしょうか」
受付の前でウロウロしていると、声をかけられて恥ずかしくなった。
「あ、すみません。高辻の家で家政婦をしている桑江と申しますが、社長から頼まれた物を持って参りました」
「家政婦さんの桑江さんですね。社長に確認しますので、少々お待ちください」
「はい」
オフィス街でも一番立派なビルは眺めているだけで首が痛くなるくらいだった。
「すごいなぁ」
逃げたい気分になったけれど、頼まれた物を渡さずに帰るわけにいかず、ビルの中に入った。
スーツを着た人達が颯爽と歩き、忙しそうにしていた。
こんな所に毎日、恭士さんは働いているんだと思うと、なんだか不思議な気持ちだ。
屋敷で知っている恭士さんは野菜が嫌いで、見栄っ張りで、子供っぽいところのある人だけど、ここで見る顔はきっと違う。
「なにか御用でしょうか」
受付の前でウロウロしていると、声をかけられて恥ずかしくなった。
「あ、すみません。高辻の家で家政婦をしている桑江と申しますが、社長から頼まれた物を持って参りました」
「家政婦さんの桑江さんですね。社長に確認しますので、少々お待ちください」
「はい」