私の婚約者には好きな人がいる

仕事探し


「はあ。泣いてる場合じゃないわ」

昼過ぎまでがっつり眠った。
仕事がないから、これだけ寝れるんだから、ものは考えようよ!
それにうちのお母さんが言ってたもんね。
泣いて貧乏がどうにかなるもんじゃないって。
とりあえず、求人雑誌を買ってみた。
パジャマのまま、ごろごろとベッドの上に転がりながら、気になるところに付箋(ふせん)を貼っていく。

「うーん。家政婦のスキルを生かすなら、掃除とか料理かなあ」

収入は減っちゃうから、どれも厳しい。

「まさかのホステスとか?」

私に才能あるかな。
童顔だけど、けっこういける?
鏡を見てみた。
いけるかなあ?

「一応、候補にいれとこ」

バタバタと慌ただしい足音が廊下から聞こえ、私の部屋の鍵が勝手に開けられた。

「ど、どうぞ!高辻様!」
< 238 / 253 >

この作品をシェア

pagetop