私の婚約者には好きな人がいる
「ふっ、あ」

舌を絡め、体をなであげ、声をあげさせた。

「昨日、抱いたせいで体が敏感になってるな」

「そ、そんなっ、こと、言わないで」

太ももを指でなぞられただけで、ぞわぞわした感触が沸き上がり肩を掴んだ。
どれだけ私を誘惑するのだろう。
この人は。

「残念だが、今日は二人で行くところがあるからな」

体を離され、ホッとして緊張を解いた。
お土産のテディベアをトートバッグからだすと、中から四角い小さな箱が出てきた。

「これ」

「お土産だ」

赤い箱を開けると銀色に輝く指輪が現れた。
大きなダイヤモンドがキラキラとしていて、思わず、ぱたんと箱を閉じた。

「おい」

「こんな高そうなもの身につけれません」

「馬鹿なこと言うな!」

「落としたりしたら、大変ですよ!」

「また買ってやるから。気にするな。ほら、手を出せ」

箱を奪い取り、中から指輪を取り出すと、指にはめた。

「ぴったりだな」

満足そうに微笑んだ。

「さて。行くか」
< 247 / 253 >

この作品をシェア

pagetop