私の婚約者には好きな人がいる
「お弁当は家政婦さんの静代さんが作ってくれているんです。でも、今日の鮭の香草焼きは私が作ったんですよ」

「えー、美味しそう」

「お一つどうぞ」

「うわー、おしゃれな味!」

「お料理教室で教えていただいたんですよ。パン粉にバジルと粉チーズを混ぜるだけで簡単にできますから」

「おいしーい」

「そうですか?嬉しいです」

習い事を頑張っておいて、よかったと思った。

「じゃあ、お礼にこれ」

「のど飴ですか」

「そう、ハチミツ生姜よ。喉によさそうでしょ」

「本当ですね」

外で食事をしていた人達が早めに帰ってきた。

「早いわね」

「本当ね」

お弁当組は片付け始めていると、帰ってきたばかりの中井さんがツカツカと早足でこっちにやってきて言った。

「高辻さん、これ午後からお願い」

「あ、はい!わかりました!」

資料を作ればいいらしく、他の皆ものぞきこみ、見ていた。

「中井さん、これ量が多くないですか?」
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