私の婚約者には好きな人がいる
秘書
中井さんは海外支店に行ってしまった。
けれど、海外事業部はいつも通りで、惟月さんも取り乱した様子は一切なく、淡々と仕事をしていた。
どうしたら、あんな表情も変えないでいられるんだろう。
私なら、きっと自分の感情が顔に出てしまう。
皆のお茶のカップをかたづけて、席に戻ると、ちょうど清永のおじ様がやってきた。
「がんばっているね。咲妃ちゃん」
「清永のおじ様」
「この間、惟月が夕飯をごちそうになったときいてね」
「父が惟月さんを引き留めてしまって」
「いやいや!」
嬉しそうにおじ様が手を振った。
「惟月が咲妃ちゃんとの婚約の話を進めてもらっていいと言っていたそうじゃないか。高辻社長から電話があってね。とても喜んでいたよ」
「父が―――」
「それで考えたんだが、惟月の秘書として一緒に働いた方がお互いを知れていいんじゃないかと思ってね」
けれど、海外事業部はいつも通りで、惟月さんも取り乱した様子は一切なく、淡々と仕事をしていた。
どうしたら、あんな表情も変えないでいられるんだろう。
私なら、きっと自分の感情が顔に出てしまう。
皆のお茶のカップをかたづけて、席に戻ると、ちょうど清永のおじ様がやってきた。
「がんばっているね。咲妃ちゃん」
「清永のおじ様」
「この間、惟月が夕飯をごちそうになったときいてね」
「父が惟月さんを引き留めてしまって」
「いやいや!」
嬉しそうにおじ様が手を振った。
「惟月が咲妃ちゃんとの婚約の話を進めてもらっていいと言っていたそうじゃないか。高辻社長から電話があってね。とても喜んでいたよ」
「父が―――」
「それで考えたんだが、惟月の秘書として一緒に働いた方がお互いを知れていいんじゃないかと思ってね」