私の婚約者には好きな人がいる
「はい。あの、藤枝(ふじえだ)様の新事業祝いですけれど。先日、藤枝様はゴルフがご趣味でご一緒したのですけど、花粉アレルギーで花は避けたほうがよろしいかと思います」

「そうなのか?」

「はい。日持ちのするお菓子などになさいますか?甘いものが藤枝様もご家族もお好きですから」

「それで頼む」

「はい」

藤枝様がお好きなお菓子の注文をし、手配した。
その後は会話もなく、午前の仕事が終わった。

「お昼は?」

「私はお弁当です。惟月さんはいつもどうされているんですか?」

「社食だな」

「あ、あの!それなら、明日からお弁当を作らせて頂きたいのですけど。その、ご迷惑でなければ」

「大変だろう?」

「大丈夫です!」

力強く答えると惟月さんは笑った。

「それじゃあ―――」

惟月さんが返事をしかけた時、コンコンとノックの音がした。

「惟月」

間水さんが入ってきて、私をチラッと見ると、目をそらした。
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