私の婚約者には好きな人がいる
「私、初めて食べます。おにぎりってこんなふうに包まれているんですね。いろんな味があってすごいですね」

「待て待て!全種類はさすがに買いすぎだ。食べ切れないだろう?」

「ごっ…ごめんなさい。つい」

「一緒についてきてよかったな」

惟月さんは肩を震わせて、笑っていた。

「……そんなに笑わなくても」

恨めし気に惟月さんを見た。

「悪い。コンビニで、そんな大喜びされると思わなかった」

「ずっと入ってみたかったんですけど、勇気がでなくて」

コンビニの袋を持って、戻ると間水さんは私と惟月さんを見て驚いていた。
どうしてだろうと思って、不思議そうに間水さんの視線を追うとその謎は解けた。
気づくと手を握ったまま、歩いてきてしまった。
慌てて、手を離すと惟月さんも気が付いたらしく、少し動揺していた。

「……これは…まあ」

気まずそうに惟月さんは間水さんを見た。

「いや、いいんだ。婚約者だもんな。惟月が社内で手をつなぐとは思わなかったから、驚いただけだ」

「言うな」

間水さんは顔を赤くした私と惟月さんを見て、笑っていた。
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