私の婚約者には好きな人がいる
パーティー
気がづくとソファーで眠ってしまっていたようだった。
間水(まみず)さんはもういなかった。
まだ眠くて、ぼんやりしていると、起きていたらしい惟月(いつき)さんが現れて熱いコーヒーを手渡してくれた。

「あ…ありがとうございます」

「家まで送る。恭士(きょうじ)さんに殴られるかもな」

「……気を付けてください」

否定はできなかった。
昨日、電話した時も父は事情を清永(きよなが)のおじ様からも聞いていたから、了承してくれたけど、途中で電話を奪った恭士お兄様は今すぐ帰れの一点張り。
外泊なんて今までしたことがなかった私を迎えにこなかったことだけが救いだ。
きっとお父様から言われたのかもしれない。
お兄様を止められるのはお父様くらいだから。
コーヒーを飲み終わると、会社を出て、高辻(たかつじ)の家に送ってもらった。
そのまま、惟月さんは帰るのかと思ったけれど、そのまま、車を降りた。

「惟月さん?」

「高辻のご両親から、寄るように言われている」

「え?」

一緒に家に入ると、玄関に怖い顔をした恭士お兄様が待ち構えてた。

「惟月、わかっているだろうな」
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