私の婚約者には好きな人がいる
「い、いいえ。何も」
「どうせ惟月だろう?だから、反対したんだ。咲妃。婚約を解消したい時は俺に言え。うまく解消させてやる」
そんな殺し屋みたいな顔をした恭士お兄様に頼めるわけがない。
心配をかけてしまったことは申し訳なく感じているけど……
首を横に振った。
「恭士お兄様。疲れがたまっていただけですから、気にしないで」
いつもなら、静代さんが助け船を出してくれるはずなのに来てくれなかった。
恭士お兄様はため息をついた。
「熱があるから、今日はこれ以上は言わないが、咲妃が望むなら、いつでも解消できることは覚えておけ」
そう言い捨てると、ようやく部屋から出ていった。
熱を出しただけなのに婚約解消だなんて。
昔から両親と過ごすより兄妹でいることが多かったし、海外旅行も一緒についてくるのは恭士お兄様だったせいか、お父様より過保護だった。
大切にしてくれているのはわかっているけど……
ごめんなさい。お兄様。
辛くても今は惟月さんといたい――――その気持ちだけはずっと変わらなかった。
今も。
「どうせ惟月だろう?だから、反対したんだ。咲妃。婚約を解消したい時は俺に言え。うまく解消させてやる」
そんな殺し屋みたいな顔をした恭士お兄様に頼めるわけがない。
心配をかけてしまったことは申し訳なく感じているけど……
首を横に振った。
「恭士お兄様。疲れがたまっていただけですから、気にしないで」
いつもなら、静代さんが助け船を出してくれるはずなのに来てくれなかった。
恭士お兄様はため息をついた。
「熱があるから、今日はこれ以上は言わないが、咲妃が望むなら、いつでも解消できることは覚えておけ」
そう言い捨てると、ようやく部屋から出ていった。
熱を出しただけなのに婚約解消だなんて。
昔から両親と過ごすより兄妹でいることが多かったし、海外旅行も一緒についてくるのは恭士お兄様だったせいか、お父様より過保護だった。
大切にしてくれているのはわかっているけど……
ごめんなさい。お兄様。
辛くても今は惟月さんといたい――――その気持ちだけはずっと変わらなかった。
今も。