私の婚約者には好きな人がいる
「顧客からの大量キャンセル事件があったじゃないですか。あれ、中井さんは全然関わっていなかったのに顧客が集まるイベントで前に立って説明しはじめて、商品と違うことを言って、話を聞いた顧客からキャンセルされたんです」
そういえば、間水さんが惟月さんにそんなことを言っていたかもしれない。
大変な思いをしてキャンセルを取り消してもらったあの事件のことだと察しがついた。
「信用は失うし、謝りに回るのと再契約を結ぶのに大変だったらしく、中井さんは海外支店で皆とうまくいかなくなり、急きょ戻されたんですよ。海外事業部でも謝罪の電話やつながりのある社員は海外出張して、現地までお詫びに行ったんですから」
「そんな大事になっていたなんて」
「間水部長が中井さんを無理やり海外事業部に戻したせいで、間水部長にも批判が集まっているんです」
「知らなかったです」
「だから、きっと専務もご存知じゃないと――」
「誰がなにをご存知じゃないって?」
「うわっ!」
閑井さんの背後から、惟月さんが現れた。
そういえば、間水さんが惟月さんにそんなことを言っていたかもしれない。
大変な思いをしてキャンセルを取り消してもらったあの事件のことだと察しがついた。
「信用は失うし、謝りに回るのと再契約を結ぶのに大変だったらしく、中井さんは海外支店で皆とうまくいかなくなり、急きょ戻されたんですよ。海外事業部でも謝罪の電話やつながりのある社員は海外出張して、現地までお詫びに行ったんですから」
「そんな大事になっていたなんて」
「間水部長が中井さんを無理やり海外事業部に戻したせいで、間水部長にも批判が集まっているんです」
「知らなかったです」
「だから、きっと専務もご存知じゃないと――」
「誰がなにをご存知じゃないって?」
「うわっ!」
閑井さんの背後から、惟月さんが現れた。