私の婚約者には好きな人がいる
「調べた。妹の婚約者を身上調査をするのは当たり前だ」
「お兄様は惟月さんに付き合っている女性がいることを最初から知っていたの?」
「ああ。だが、咲妃が惟月に好意を持っていたことを知っていたからな。会社に行って、目の当たりにすれば、あいつに幻滅して婚約を解消するだろうと俺は考えていた」
だから、初めは働きに行くのを強く反対しなかったのだ―――恭士お兄様は。
「だが、今は違う。どうせ、ヨリを戻したんだろう」
「ちっ…違いますっ!」
「あいつは咲妃の優しさにつけこんで、高辻を利用しただけだ。婚約は解消させる。いいな!」
「そんな!」
玄関で大きな物音がした。
「お待ちくださいませ。お嬢様と恭士様がお話し中ですから……!」
静代さんの慌てる声と同時に階段をあがる足音がし、ばたんっとドアが開いた。
「惟月!」
「咲妃さんと話がしたくてきたんですが、玄関で恭士さんの話が終わるまでは会えないと言われたもので」
「お兄様は惟月さんに付き合っている女性がいることを最初から知っていたの?」
「ああ。だが、咲妃が惟月に好意を持っていたことを知っていたからな。会社に行って、目の当たりにすれば、あいつに幻滅して婚約を解消するだろうと俺は考えていた」
だから、初めは働きに行くのを強く反対しなかったのだ―――恭士お兄様は。
「だが、今は違う。どうせ、ヨリを戻したんだろう」
「ちっ…違いますっ!」
「あいつは咲妃の優しさにつけこんで、高辻を利用しただけだ。婚約は解消させる。いいな!」
「そんな!」
玄関で大きな物音がした。
「お待ちくださいませ。お嬢様と恭士様がお話し中ですから……!」
静代さんの慌てる声と同時に階段をあがる足音がし、ばたんっとドアが開いた。
「惟月!」
「咲妃さんと話がしたくてきたんですが、玄関で恭士さんの話が終わるまでは会えないと言われたもので」