私の婚約者には好きな人がいる
いったいどんな食生活を送っていたのか、不安になってしまうほどに。

「高辻社長からメールがきた」

「まあ。お父様から?」

ほら、と見せてくれた。
私が知っているお父様とは思えない文面―――別の人が書いてますよね?というくらいだった。

「……まさか」

くすっと笑うと、惟月さんは頬をひきつらせた。

「見なかったことにするな!」

「お父様には私からも話をします」

「そうしてくれると、助かる。それと、今日は土曜日だし、土日の間に一緒に暮らすための必要なものを買い物に行こう」

「えっ!?」

「ここで暮らすのは嫌か?」

「いいえ。嬉しいです」

「そうか」

ホッとしたように惟月さんは椅子に寄りかかった。

「ふふっ。なんだか、駆け落ちみたいですね」

そういうと、惟月さんは慌てて首を横に振った。
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