おもいでにかわるまで
友人達は物珍しい明人に群がった。

「明人ー!なんだよお前すげー久しぶりじゃん。生きてたのかよー。」

「長谷川君久しぶりー。えー、卒業以来。ほんとどうしてたの?ていうかあんまり変わってなくない?」

「久しぶりだね会えて嬉しいよ。でも皆は大人になってるよ。社会人だし当たり前かな。」

「なんかキャラ変してるんだけどーうける。空が青くていらつく、下等生物共は近寄るな、お前は俺の下僕だ、みたいな感じだったのに。」

「なんだよそれ。んなの言った事ないし。」

久しぶりに会えば現状の報告会が行われる。

「勇利は海外行くのかー。農場の設計?経営?スケールやば。」

「子供も2歳になったからね。農場は奥さんの方だよ。俺は現地の日本人学校の教師をする。」

「俺は卒業してからずっと同じだよ。なんだかなあ。」

「そう?新卒から辞めずに勤めてるなんて凄く立派だよね。」

「ていうか長谷川君が医者になるって何事!?少女漫画の世界じゃん。早く教えてよ。それで私と結婚しようよ。」

「無理じゃね?だって明人って涼しい顔して超面食いじゃん。学生の時おしるこちゃんと付き合って俺らひっくり返ったよな。」

「そうそう!隠れと隠れてないおしるこファンから大ブーイング。」

「そ、そうなんだ。知らなかった。」

‘おしるこちゃん’とは堀田が言い始めた彼女のあだ名だ。

「俺てっきりおしるこちゃんは勇利を好きなんだと思ってたなあ。」

「そうそう。勇利さん勇利さんってバレバレでさ、どんなけーって面白かったよね。美人なのに芋臭いっていうか。」

「なあ勇利ー。おしるこちゃん元気してる?独身かな?飲み会しようぜ。なあ明人も会いたいだろ?絶対に綺麗になってるって。」

「俺は・・・。全然会いたくない、かな・・・。」

「何それ。好きだった女をどうしてるかな、元気かなって思わないの?」

「いや、全然・・・。むしろ考えないようにしてる。」

「え、やば。それって過去の人になってなくない?現在進行形って事じゃん。いわゆる良い思い出行きに出来てたら、会っても平気なもんだぜ。なあ勇利?」

「人によるでしょ。はいはい。おしるこちゃんは今でもかわいいし、独身だよ。でもアメリカがどうのこうのって悩んでたかなあ。」

「また海外!?なんなのお前ら。」

「あ、新郎新婦の登場だよ。おめでとー!」

堀田は初めて付き合った彼女と約8年付き合って今日の日を迎えた。
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