お嬢様は恋したい！

「高橋さんって彼氏とか欲しいの？」

専務に聞かれ正直に答えた。

「はい。」

「お前は言ってるそばから、そんな事を言って…」

「一誠、僕が高橋さんの彼氏に立候補しようと思って話しているんだから邪魔するなよ。」

鈴木主任は専務の横でびっくりした顔をしている。

私もびっくりだけど。

「お、おまえ。何言ってんだよ。自社の社員と付き合うって…」

「別に僕には今、彼女も妻もいないから、問題ないだろう。」

「おまえは惚れっぽ過ぎるから、亜季さんが出て行ったんだろうが。そんなやつに香を任せられるかよ。」
　
あれ？

専務って確か３０歳で…バツイチですか。

「どう？高橋さん。とりあえず相性見て決めてもいいよ。」

「陸。香は、貧乏だけど一生懸命頑張っている真面目ないい子なんだ。真面目に付き合えない男は、いくら親友のおまえでも勧められない。」

主任…私のことすごく心配してくれてたんですね。

「なぁ、一誠。おまえ、高橋さんの事なんだと思っているんだよ。まるでシスコンの兄貴か独占欲の塊な彼氏みたいな事を言ってる自覚はあるのか？」

専務がそう言うと鈴木主任が黙ってしまった。

「それで高橋さんは、僕とどう。」

「私…恋愛も初心者で専務みたいな方とうまくお付き合いできるか分からないのですけど。」

専務にそう返事をした。

バツイチでも専務だし、将来的に会社を継ぐ方だからお父様にも話しやすい。

交際して、そのままプロポーズされたら結婚というルートが想像できる相手だ。

条件だけみたら、あと２ヶ月で見つけられる中では一番の人だろう。

だけどねぇ。

鈴木主任が言っていた惚れっぽ過ぎて、奥さん出て行っちゃったとか言われると心配しかない。

「あの、専務は私と交際して、その先とか考えてくれますか。」

「何、何？僕と将来誓っちゃう？」

軽すぎです。