お嬢様は恋したい!
「言ったろ。香は、貧乏だけど頑張っているって。」
鈴木主任が陸斗さんに自分は知っていると言わんばかりに説明している。
ホント、この人どこ目線なのよ。
「一誠、僕は香ちゃんを送るから、ここで解散な。」
「それなら俺も…」
鈴木主任は自分で何を言っているか分かっているのだろうか。
付き合う事になった私を陸斗さんが送るのについて来る?
「一誠?」
「あ、おかしいか。陸は香と付き合うんだもんな。それじゃ送ったら、すぐ戻って来いよ。いつもの店で飲んで待っているから。」
「一誠、お前なぁ。」
さすがに付き合いの長い陸斗さんも鈴木主任のことを呆れたような目で見ている。
「…」
絶対、すぐに来いと口以上に物語っている鈴木主任の眼差しに陸斗さんの方が折れたようだ。
「わかったよ。香ちゃんを送ったら、行くから待ってろ。」
「あぁ。じゃあ香、またな。」
納得してくれたようで鈴木主任は、雑踏の中に消えて行った。
「さて、行こうか。」
「はい。」
陸斗さんと駅に向かって歩き出す。
「降りるのはN駅だっけ?」
「はい。」
「4つ先か。」
「はい。」
「仕事は、どう?楽しくやれてる?」
「はい。」
「僕とじゃつまらない?」
「いえ、そんな事ないです。さっきも話しましたが、私は恋愛初心者で陸斗さんが初めての彼氏?になるんです。さっきから緊張しちゃってます…」
「なんだよ。めっちゃかわいいじゃん。」
「そんなことないですよ。」
「まずは僕を知ってもらわないとかな?明後日の日曜日、デートしよう。」
「は、はい。」
「ホントは明日も会いたいんだけど、先約があってね。デートなんだ。」
私と交際するといいながら、前日は違う人と約束があるのってどうなんだろう。
「デートの相手はこの子。」
陸斗さんが見せてくれたスマホには2歳くらいの女の子を抱いた綺麗な女性がいた。
「名前は紗季。誕生日は一緒に過ごす約束なんだ。かわいいだろ。」
かわいい?どちらかと言えば綺麗じゃない?
私が黙ってしまったので、陸斗さんは不思議そうな顔をする。
「どうかした?」
「綺麗な方ですよね。」
「きれい?…あ、これは元嫁の亜季。紗季はこっち。明日が2歳の誕生日なんだ。」
そう話す陸斗さんは、チャラさが抜けて娘がかわいくて仕方がない、いいパパにしか見えない。
「奥様と復縁はないのですか。」
「そうだな。僕は戻ってくれば受け入れるけど、彼女の方がその気ないからね。」
ちょっと寂しそうなその表情に陸斗さんは、まだ亜季さんに未練があるような気がした。
電車を降りて駅から10分かからない寮の入口に着く。
「ここです。ありがとうございました。」
派遣会社ソラーレの寮は、しつこいようだが家賃タダが魅力の古き良き時代を感じられるアパートだ。
「え、ここ?」
「はい。」
「セキュリティ、大丈夫なのか。」
「これでも派遣会社の寮なので、入居者は全員身元が分かっていて安心ですよ。」
私が笑うと陸斗さんも鈴木主任と同じようにかわいそうな子を見るような顔をする。
「良かったら、僕のマンションで同棲する?」
「それは、追々考えます。」
「ふーん。考えてくれるんだ。それじゃ、日曜日の10時に車で迎えに来るからね。」
「はい。おやすみなさい。」
「おやすみ。香ちゃん。しゃあない、一誠が待っているから、戻るね。」
陸斗さんは、そう言うと私の額にそっとキスを落として、帰っていった。
鈴木主任が陸斗さんに自分は知っていると言わんばかりに説明している。
ホント、この人どこ目線なのよ。
「一誠、僕は香ちゃんを送るから、ここで解散な。」
「それなら俺も…」
鈴木主任は自分で何を言っているか分かっているのだろうか。
付き合う事になった私を陸斗さんが送るのについて来る?
「一誠?」
「あ、おかしいか。陸は香と付き合うんだもんな。それじゃ送ったら、すぐ戻って来いよ。いつもの店で飲んで待っているから。」
「一誠、お前なぁ。」
さすがに付き合いの長い陸斗さんも鈴木主任のことを呆れたような目で見ている。
「…」
絶対、すぐに来いと口以上に物語っている鈴木主任の眼差しに陸斗さんの方が折れたようだ。
「わかったよ。香ちゃんを送ったら、行くから待ってろ。」
「あぁ。じゃあ香、またな。」
納得してくれたようで鈴木主任は、雑踏の中に消えて行った。
「さて、行こうか。」
「はい。」
陸斗さんと駅に向かって歩き出す。
「降りるのはN駅だっけ?」
「はい。」
「4つ先か。」
「はい。」
「仕事は、どう?楽しくやれてる?」
「はい。」
「僕とじゃつまらない?」
「いえ、そんな事ないです。さっきも話しましたが、私は恋愛初心者で陸斗さんが初めての彼氏?になるんです。さっきから緊張しちゃってます…」
「なんだよ。めっちゃかわいいじゃん。」
「そんなことないですよ。」
「まずは僕を知ってもらわないとかな?明後日の日曜日、デートしよう。」
「は、はい。」
「ホントは明日も会いたいんだけど、先約があってね。デートなんだ。」
私と交際するといいながら、前日は違う人と約束があるのってどうなんだろう。
「デートの相手はこの子。」
陸斗さんが見せてくれたスマホには2歳くらいの女の子を抱いた綺麗な女性がいた。
「名前は紗季。誕生日は一緒に過ごす約束なんだ。かわいいだろ。」
かわいい?どちらかと言えば綺麗じゃない?
私が黙ってしまったので、陸斗さんは不思議そうな顔をする。
「どうかした?」
「綺麗な方ですよね。」
「きれい?…あ、これは元嫁の亜季。紗季はこっち。明日が2歳の誕生日なんだ。」
そう話す陸斗さんは、チャラさが抜けて娘がかわいくて仕方がない、いいパパにしか見えない。
「奥様と復縁はないのですか。」
「そうだな。僕は戻ってくれば受け入れるけど、彼女の方がその気ないからね。」
ちょっと寂しそうなその表情に陸斗さんは、まだ亜季さんに未練があるような気がした。
電車を降りて駅から10分かからない寮の入口に着く。
「ここです。ありがとうございました。」
派遣会社ソラーレの寮は、しつこいようだが家賃タダが魅力の古き良き時代を感じられるアパートだ。
「え、ここ?」
「はい。」
「セキュリティ、大丈夫なのか。」
「これでも派遣会社の寮なので、入居者は全員身元が分かっていて安心ですよ。」
私が笑うと陸斗さんも鈴木主任と同じようにかわいそうな子を見るような顔をする。
「良かったら、僕のマンションで同棲する?」
「それは、追々考えます。」
「ふーん。考えてくれるんだ。それじゃ、日曜日の10時に車で迎えに来るからね。」
「はい。おやすみなさい。」
「おやすみ。香ちゃん。しゃあない、一誠が待っているから、戻るね。」
陸斗さんは、そう言うと私の額にそっとキスを落として、帰っていった。