お嬢様は恋したい!
第5章
私たちが、誰を一番好きでも報われないなら、お互いに目を向けても仕方ないよね。
そう思って迎えた日曜日の午前10時。
時間通りに現れたのは、白い国産ハイブリッド車。
「おはようございます。」
「おはよう、香ちゃん。乗って。」
助手席のドアを身体を乗り出すように車内から開けてくれた陸斗さんにお礼を言って乗り込んだ。
実を言うと助手席に乗るのは生まれて初めてだったりする。
うちの車は運転手付きだから後ろにしか乗ったことないし、言ったらお父様が免許を取らせてくれないから運転席もないのだけど。
「うわぁ。前ってこんなによく見えるんですね。」
「え?香ちゃん、免許は。」
「持ってないです。家族で車で出かけることもなかったから助手席も初めてです。」
「そうなんだ。」
いきなり後ろから声がして、びっくり。
そおっと振り返るとなぜか鈴木主任が後部座席にでんと座っていた。
「あの…陸斗さん。これはデートってお話だったような気がしますが、3人でドライブですか。」
「なんかさ。一誠がどうしてもついて行くって、煩くてさ。香ちゃんは2人きりの方が良かったよね?」
陸斗さんは、申し訳なさそうに全く見えない顔で私を覗き込んでくる。
「陸、運転手は前を見て、安全運転しろ。」
「そんな事、言うならお前が運転しろよ。」
ふたりの掛け合いを聞いているとつい笑ってしまう。
「陸斗さんと鈴木主任って、どっちが上司かわからないですね。」
「いまはプライベートだからな。」
無愛想に答える鈴木主任。
「まぁ一誠とは、小学校からの付き合いだからね。さて、出発するか。」
陸斗さんがそう言うと静かにクルマをスタートさせた。
仲がいいのか悪いのか、掛け合いのような口げんかのような不思議な時間を過ごしていると車は、駐車場に到着した。
目の前には海…そして水族館 ♪
「デートだから、定番で攻めてみました。」
陸斗さんは、エスコートするように私の横に立つ。
そして鈴木主任に向かって、命令するように言った。
「それじゃ、一誠。3人分チケット買って来て。」
「なんで俺が…」
かなり不満げな鈴木主任の顔をビシッと指して陸斗さんは、言う。
「勝手に僕の車に乗って、ついて来てるんだから、そのくらいしようよ。」
勝手にとは言っても、後ろに身長180センチ越えの鈴木主任が乗っていたら、出発前に気付くはずなのに、降りてもらわなかった陸斗さんの行動も謎だ。
渋々、チケット売り場へ歩いて行く鈴木主任を眺めながら陸斗さんは、なぜかニヤニヤ笑っていた。
そう思って迎えた日曜日の午前10時。
時間通りに現れたのは、白い国産ハイブリッド車。
「おはようございます。」
「おはよう、香ちゃん。乗って。」
助手席のドアを身体を乗り出すように車内から開けてくれた陸斗さんにお礼を言って乗り込んだ。
実を言うと助手席に乗るのは生まれて初めてだったりする。
うちの車は運転手付きだから後ろにしか乗ったことないし、言ったらお父様が免許を取らせてくれないから運転席もないのだけど。
「うわぁ。前ってこんなによく見えるんですね。」
「え?香ちゃん、免許は。」
「持ってないです。家族で車で出かけることもなかったから助手席も初めてです。」
「そうなんだ。」
いきなり後ろから声がして、びっくり。
そおっと振り返るとなぜか鈴木主任が後部座席にでんと座っていた。
「あの…陸斗さん。これはデートってお話だったような気がしますが、3人でドライブですか。」
「なんかさ。一誠がどうしてもついて行くって、煩くてさ。香ちゃんは2人きりの方が良かったよね?」
陸斗さんは、申し訳なさそうに全く見えない顔で私を覗き込んでくる。
「陸、運転手は前を見て、安全運転しろ。」
「そんな事、言うならお前が運転しろよ。」
ふたりの掛け合いを聞いているとつい笑ってしまう。
「陸斗さんと鈴木主任って、どっちが上司かわからないですね。」
「いまはプライベートだからな。」
無愛想に答える鈴木主任。
「まぁ一誠とは、小学校からの付き合いだからね。さて、出発するか。」
陸斗さんがそう言うと静かにクルマをスタートさせた。
仲がいいのか悪いのか、掛け合いのような口げんかのような不思議な時間を過ごしていると車は、駐車場に到着した。
目の前には海…そして水族館 ♪
「デートだから、定番で攻めてみました。」
陸斗さんは、エスコートするように私の横に立つ。
そして鈴木主任に向かって、命令するように言った。
「それじゃ、一誠。3人分チケット買って来て。」
「なんで俺が…」
かなり不満げな鈴木主任の顔をビシッと指して陸斗さんは、言う。
「勝手に僕の車に乗って、ついて来てるんだから、そのくらいしようよ。」
勝手にとは言っても、後ろに身長180センチ越えの鈴木主任が乗っていたら、出発前に気付くはずなのに、降りてもらわなかった陸斗さんの行動も謎だ。
渋々、チケット売り場へ歩いて行く鈴木主任を眺めながら陸斗さんは、なぜかニヤニヤ笑っていた。