お嬢様は恋したい!
幕間 side一誠
「ん…」
目が覚めてぼーっとした頭で、昨日飲んだ後、香を抱いた事を思い出し手探りで香を探したが、横に誰もいない。
時計を見ると8時過ぎ。
がっつき過ぎたと思いつつ、慌ててシャワーを浴び、昨日の服を引っ掛けると自宅マンションに戻った。
今朝、起きたら香に言おうと決めていたのに香はいないし、時間もない。
平日より仕立てのいいスーツに着替え、仕事に向かった。
俺は、この日、朝早く起きて香のところに行くべきだったんだ。
そうすれば遠回りしなくてよかったんだから。
夜になって香のアパートを訪ねたが、隣室の男の話だと今日の昼頃、みんなに挨拶して細身の銀縁眼鏡の車で出て行ったと聞かされた。
あいつか?
たしか川田とか言った。
新しい彼氏?
じゃあ、昨日のアレはなんだったんだよ。
お姫サマとの事があるから宙ぶらりんな俺は、香に待っていて欲しいとお前が好きになったと伝えるつもりで抱いたのに…
週明けに香の派遣元の会社に問い合わせしたがところ応対した社員が調べたが登録履歴に存在しないと言われた。
寮に住んでいたとも話したが、その部屋は半年前から空き部屋で荷物置き場にしていたはずとの回答。
香の履歴書を陸に無理を言って、見せてもらったが狐につままれたように手がかりは何ひとつなかった。