お嬢様は恋したい!
「それはですね…」
「お相手はどこのどなた?まさか川田とか言わないでよね。」
「んなわけないわよ。」
「良かったわ。遼一さんは気に入っているけれど、なんであれがいいのか不思議なのよね。」
川田さんの嫌われっぷりにあの人、お母様になぜそこまで嫌われるのか知りたいと思ってしまった。
でも川田さんの話をしたせいか、お互い感情的にならずに話ができるようになったから、川田さん、この場にいなくてもいい仕事してくれます。
「この子の父親は、言えない。」
「まさか乱暴されたとか。」
「違うよ。ちゃんと好きな人。でも私の事情に巻き込めないの。」
「香子、不倫なんじゃ…」
「まだ結婚はしていない。でも婚約者がいるの。」
「弄ばれたなら、子どもは堕して笠松家にお嫁に行ってもいいのよ。」
「私がお願いしたの。最後に抱いて欲しいって。避妊はしてくれてたけど、酔っていたから甘かったのかも。それでも私、彼の子どもがお腹にいるって聞いてすごく嬉しかった。
お母様、私ね、産みたいの。」
しばらく考え込んでいたお母様は、ポンと手を叩いた。
「その男は、きっちり責任を取ってもらいましょう。香子は、京都の別宅で療養生活にします。」
「お母様、彼には言わないで。」
「その人の婚約者の方への慰謝料は、うちが払ってもいいから…」
「やめて!京都へは行きます。でも私のわがままで抱いてもらったんだから、彼には言わないで。お父様やお母様には迷惑かけるけど、この子は私ひとりで育てます。ダメなら、この家と縁を切ってもらっていいから。」
「香子…本当にその人が好きなのね。」
お母様に優しく抱きしめられたのは、何年ぶりだろう。
「それじゃ子どもが生まれるまでは、私の会社の京都支社で働いてもらおうかしら。」
「えっ?どういう話の流れで、そうなるの?」
お母様の話は、脈絡が無さ過ぎて全く理解出来ない。
ベタ惚れで結婚したお父様以外、会話についていけないと思うよ。
「だって香子、その子をひとりで育てるんでしょ。働ける間は、しっかりと働いてもらうわよ。ただ婚約解消となると笠松様のお宅に申し訳ないから、病気療養で、自宅にはいないことにしたい。だから京都。」
「私、妊娠しているのに働いていいの。」
「会社には甥の嫁が、出産までパートで働きたいからって言っておくわ。悪阻が酷いときは休んでいいし。」
「普通、会社に迷惑だと思うけど。」
「いいのよ。私の自己満足だから。本社と違って支社は女性が多いから、いざ社員が妊娠した時にマタハラさせないように練習?みたいな。」
「お母様、私を囮にする気?」
お母様は、とても悪そうな笑顔になった。
「週一でレポート出してね。」
「でも社長の身内に言う人いるのかな。」
「その辺は、直接言わなくてもわかるってもんでしょ。それに京都なら香子の知り合いいないから、そのままそっちで育ててもいいからね。」
「お相手はどこのどなた?まさか川田とか言わないでよね。」
「んなわけないわよ。」
「良かったわ。遼一さんは気に入っているけれど、なんであれがいいのか不思議なのよね。」
川田さんの嫌われっぷりにあの人、お母様になぜそこまで嫌われるのか知りたいと思ってしまった。
でも川田さんの話をしたせいか、お互い感情的にならずに話ができるようになったから、川田さん、この場にいなくてもいい仕事してくれます。
「この子の父親は、言えない。」
「まさか乱暴されたとか。」
「違うよ。ちゃんと好きな人。でも私の事情に巻き込めないの。」
「香子、不倫なんじゃ…」
「まだ結婚はしていない。でも婚約者がいるの。」
「弄ばれたなら、子どもは堕して笠松家にお嫁に行ってもいいのよ。」
「私がお願いしたの。最後に抱いて欲しいって。避妊はしてくれてたけど、酔っていたから甘かったのかも。それでも私、彼の子どもがお腹にいるって聞いてすごく嬉しかった。
お母様、私ね、産みたいの。」
しばらく考え込んでいたお母様は、ポンと手を叩いた。
「その男は、きっちり責任を取ってもらいましょう。香子は、京都の別宅で療養生活にします。」
「お母様、彼には言わないで。」
「その人の婚約者の方への慰謝料は、うちが払ってもいいから…」
「やめて!京都へは行きます。でも私のわがままで抱いてもらったんだから、彼には言わないで。お父様やお母様には迷惑かけるけど、この子は私ひとりで育てます。ダメなら、この家と縁を切ってもらっていいから。」
「香子…本当にその人が好きなのね。」
お母様に優しく抱きしめられたのは、何年ぶりだろう。
「それじゃ子どもが生まれるまでは、私の会社の京都支社で働いてもらおうかしら。」
「えっ?どういう話の流れで、そうなるの?」
お母様の話は、脈絡が無さ過ぎて全く理解出来ない。
ベタ惚れで結婚したお父様以外、会話についていけないと思うよ。
「だって香子、その子をひとりで育てるんでしょ。働ける間は、しっかりと働いてもらうわよ。ただ婚約解消となると笠松様のお宅に申し訳ないから、病気療養で、自宅にはいないことにしたい。だから京都。」
「私、妊娠しているのに働いていいの。」
「会社には甥の嫁が、出産までパートで働きたいからって言っておくわ。悪阻が酷いときは休んでいいし。」
「普通、会社に迷惑だと思うけど。」
「いいのよ。私の自己満足だから。本社と違って支社は女性が多いから、いざ社員が妊娠した時にマタハラさせないように練習?みたいな。」
「お母様、私を囮にする気?」
お母様は、とても悪そうな笑顔になった。
「週一でレポート出してね。」
「でも社長の身内に言う人いるのかな。」
「その辺は、直接言わなくてもわかるってもんでしょ。それに京都なら香子の知り合いいないから、そのままそっちで育ててもいいからね。」