お嬢様は恋したい!
お祖父様の家からお父様が帰って来たのは、夜もだいぶふけた頃だった。

「どうでしたの。」

「お祖父様から相手方に香子は病気で結婚は無理だとお断りしてもらうことにした。代わりに従兄弟の慶彦さんのところの茜を打診するそうだ。」

「茜ちゃんってまだ高校生だよね。」

かなり年の差があるよね。

かずまさんは、私の9歳上の31歳だと思った。

茜ちゃんだと15歳差?

犯罪の匂いがしちゃう?!

「ほかにいないからな。誰のせいでこうなったかくらいは自覚してくれ。」

「勝手に話を進めていたお祖父様とお父様。」

「か、香子。」

「もちろん言うことを聞かずに半年自由にさせてもらって、勝手に人を好きになって妊娠した私もいけなかった…ですけど。」

「さすがにこのタイミングでの相手変更で、この年の差だからかずまくん側にも茜にも話をして双方が納得しなければ、この話はなかったことになるらしい。」

いまさらだが、私の時にそれをしてくれていれば、こんな事にならなかったのに。

「なぜ…」

「最初、お祖父様たちの話がかずまくんの耳に入った時にかずまくんがえらい乗り気でそれまで家の仕事を継ぎたくないと言っていたのが積極的に関わるようになったらしくてな。」

「それって私がかずまさんの人参だったってこと?」

お父様が分かりやすく、私から目を逸らした。

つまり先に話をしたかずまさんが、周囲の期待以上に頑張り始めたから、私に事前に話して断らないようにギリギリまで黙っていただけで、話自体は結構前から水面下でされていたらしい。

というか私が嫌がるとか考えていなかったんだ。この男ども…














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