お嬢様は恋したい!
のはずだったのだが…

「香子、買い物に行こう。車借りてくるよ。」

「か、川田さんっ。」

「だから秀介って呼べって言っただろう?」

あの日から、こちらから呼んでないのに秀介さんは毎週末、私のマンションにやって来る。

さすがに泊まりはせずに近くのホテルに泊まって行くか日帰りで戻って行くのだけれど。

あの毒舌男はどこへ行った?

私をそんなに甘やかして、どうしたいの。

「近くのスーパーでいいわよ。この辺りは車で移動しにくいから。」

なんたってここは、四条河原町の交差点近く。

すぐ近くに祇園もあり、観光客も買い物の地元民も集中するから車での移動は大変だと思う。

それに散歩した方が身体にいいしね。

「それじゃ荷物持ちで一緒に行くよ。」

「ありがとう。助かるわ。」

以前のような毒舌がない分、話しやすくてスーパーまでの散歩でも楽しい時間になる。


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