お嬢様は恋したい!
南総門を出たところで、秀介さんに手を引かれ彼の胸の中に抱き止められた。

「香子、俺と結婚してください。最初は世間知らずでわがままなお嬢様だと思って、きつい事も言ったと思う。婚約が潰れた責任感でプロポーズもした。でも今は一生懸命で頼れって言っているのに甘えないお前を甘やかしたくて仕方がないほど好きなんだ。今すぐじゃなくていいから、責任感じゃなく香子が好きな男からのプロポーズだと理解した上で返事をしてくれ。」

私の中では、秀介さんには一誠さんのような恋焦がれる感情はない。

でも秀介さんの優しい気持ちに安心する。

秀介さんとなら穏やかな家族となれそうな気がしていた。

でも気持ちにブレーキをかけるのは、一誠さんへの捨てきれない恋心。

「もう少しだけ待ってください。」

ずるくてごめんなさい。

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