お嬢様は恋したい!
「高橋さん、先月分の売り上げ集計と新商品の一覧を10部ずつ用意してください。」
やっと机の山の三分の一ほどが片付いたあたりで鈴木主任から追加の仕事が、やってきた。
「集計のグラフは、カラーの方がいいですか。」
「あ、あぁ。」
浅田さん達から聞いているから、鈴木主任には仕事きっちり、色恋きっぱりを心掛ける。
初めての職場だけど、美月さんのスパルタ3ヶ月がある私には、会社独特のルール以外は困る点はないし、そこもとりあえずクリアー出来た今は、相手を対象として意識せずに仕事に集中すると決まればなんの問題もない。
「用意できたら、第三会議室まで持ってきて。」
「はい。10分ほどでお持ちします。」
PCで資料をまとめ、印刷を待つ間にスケジュールの確認をすると午後2時から会議が入っている。
時計を見るとまだ1時半を回ったあたり、10分とは言ったが、5分で届けられそうでホッとする。
「第三会議室に資料届けに行ってきます。」
「「お願いしまーす。」」
浅田さんと島本さんに見送られ、2階上の会議室に向かった。
「…だからさぁ、今度の子はどうなの?いっせい的に。」
ノックしようとした時、会議準備をしている鈴木主任とは違う明るそうな声が聞こえてきた。
「別に…」
「やっぱり姫には敵わないか。」
「俺はあいつさえいればいいから。」
「でも、その愛しの婚約者に何年も会っていないんだろ?迎えに行くって約束、反故にされたらどうすんだよ。」
「そしたら考えるよ。」
話がひと段落したようなので、ノックして会議室のドアを開けた。
「鈴木主任、お持ちしました。」
さっきまでの会話の優しそうな雰囲気が全くなくなった鈴木主任が、早くよこせとばかりに手を出す。
そこに後ろから顔を出す男性がひとり。
どうやら鈴木主任が話していた相手らしい。
鈴木主任が静なら動、陰なら陽、北風なら太陽というチャラ…もとい明るそうな人だ。
「君がいっせいの新しい会社妻?」
「り、陸!何を言ってるんだよ。」
その人の言葉に鈴木主任の表情が、明らかに怒に変わる。
「だってさ、営業のお前に専属で付く営業事務だろう。」
「誰のせいで俺がこんなに働いているんだよ。」
「あの…」
いつまでも続きそうな会話にとりあえず書類を持ち上げてみせると鈴木主任は、バツが悪そうな顔になった。
「えっと高橋さん?」
私のネームプレートを見て、その人は私を覗き込むように見てくる。
「いっせいの事よろしく頼むね。」
「いっせい?」
「こいつの名前。一に誠でいっせい。知らなかった?僕は黒川陸斗。一誠とは中学から一緒の親友。」
「親友じゃなくて悪友だろ?」
「ひどいわっ。私はずーっと一誠の事大好きなのに。」
泣き真似をする陸斗さんの方を見て、鈴木主任は盛大なため息をついた。
「専務!いい加減仕事に戻ってください。邪魔です。」
「もうっ、一誠ったら、つれないなぁ。」
そう言いながら、陸斗さんは手をヒラヒラしながら出て行った。
「高橋さんもありがとう、戻っていいよ。」
やっと机の山の三分の一ほどが片付いたあたりで鈴木主任から追加の仕事が、やってきた。
「集計のグラフは、カラーの方がいいですか。」
「あ、あぁ。」
浅田さん達から聞いているから、鈴木主任には仕事きっちり、色恋きっぱりを心掛ける。
初めての職場だけど、美月さんのスパルタ3ヶ月がある私には、会社独特のルール以外は困る点はないし、そこもとりあえずクリアー出来た今は、相手を対象として意識せずに仕事に集中すると決まればなんの問題もない。
「用意できたら、第三会議室まで持ってきて。」
「はい。10分ほどでお持ちします。」
PCで資料をまとめ、印刷を待つ間にスケジュールの確認をすると午後2時から会議が入っている。
時計を見るとまだ1時半を回ったあたり、10分とは言ったが、5分で届けられそうでホッとする。
「第三会議室に資料届けに行ってきます。」
「「お願いしまーす。」」
浅田さんと島本さんに見送られ、2階上の会議室に向かった。
「…だからさぁ、今度の子はどうなの?いっせい的に。」
ノックしようとした時、会議準備をしている鈴木主任とは違う明るそうな声が聞こえてきた。
「別に…」
「やっぱり姫には敵わないか。」
「俺はあいつさえいればいいから。」
「でも、その愛しの婚約者に何年も会っていないんだろ?迎えに行くって約束、反故にされたらどうすんだよ。」
「そしたら考えるよ。」
話がひと段落したようなので、ノックして会議室のドアを開けた。
「鈴木主任、お持ちしました。」
さっきまでの会話の優しそうな雰囲気が全くなくなった鈴木主任が、早くよこせとばかりに手を出す。
そこに後ろから顔を出す男性がひとり。
どうやら鈴木主任が話していた相手らしい。
鈴木主任が静なら動、陰なら陽、北風なら太陽というチャラ…もとい明るそうな人だ。
「君がいっせいの新しい会社妻?」
「り、陸!何を言ってるんだよ。」
その人の言葉に鈴木主任の表情が、明らかに怒に変わる。
「だってさ、営業のお前に専属で付く営業事務だろう。」
「誰のせいで俺がこんなに働いているんだよ。」
「あの…」
いつまでも続きそうな会話にとりあえず書類を持ち上げてみせると鈴木主任は、バツが悪そうな顔になった。
「えっと高橋さん?」
私のネームプレートを見て、その人は私を覗き込むように見てくる。
「いっせいの事よろしく頼むね。」
「いっせい?」
「こいつの名前。一に誠でいっせい。知らなかった?僕は黒川陸斗。一誠とは中学から一緒の親友。」
「親友じゃなくて悪友だろ?」
「ひどいわっ。私はずーっと一誠の事大好きなのに。」
泣き真似をする陸斗さんの方を見て、鈴木主任は盛大なため息をついた。
「専務!いい加減仕事に戻ってください。邪魔です。」
「もうっ、一誠ったら、つれないなぁ。」
そう言いながら、陸斗さんは手をヒラヒラしながら出て行った。
「高橋さんもありがとう、戻っていいよ。」