お嬢様は恋したい！

私の横で土下座する一誠さんにみんなが唖然とする中、お祖母様はにっこり笑っている。

「ちゃんと分かってもらえたみたいで、良かったわね。」

私にそう言うお祖母様は、何をどこまで知っていて今日を計画したんだろう。

「か、一誠くん。話が見えないのだが…」

お父様が、状況が掴めず困惑している。

「一叶ちゃんのパパが、かっちゃんだって香子ちゃんとかっちゃんが納得したって事なのよね。」

「お祖母様？」

私が不思議そうな顔をするとお祖母様が教えてくれた。

「遼一の秘書の…名前は川田だったかしら。彼が先週、私を訪ねて来たの。香子ちゃんの幼馴染の笠松一誠という男を私が知っているはずだと確認した上で、一叶ちゃんの為にも彼と香子ちゃんの見合をセッティングして欲しいって。」

秀介さんが、一誠さんの事を探してくれたんだ。

どこまで優しいのよ。

「そうそう、彼からかっちゃんに伝言があったんだったわ。『急に会社からいなくなったり、めんどくさい事をしてくれるから、苦労したじゃないか。うまくいったら、一発殴らせろ。』だったかしら。」