人生の相棒～運命の人は突然に現れる～

プロローグ

萱島亜月（ｶﾔｼﾏｱﾂｷ）、２５歳。

昭和の懐かしい雰囲気が漂っているこの居酒屋は、私が行きつけにしていた店の１つだった。

「ここで飲むのも、今日で最後か…」

カウンター席に通された私は呟いた。

店内は懐かしい歌謡曲とたくさんのお客さんでにぎわっている。

メニュー表を見て注文するものが決まったので店員を呼ぼうと、騒がしい店内を見回した。

時間も時間で、そのうえ今日は金曜日なので店員はあっちへ行ったりこっちへ行ったりと大忙しだ。

参ったな、これは…。

そう思った時、
「あの」

隣に座っていた男の人に声をかけられた。

「はい」

返事をすると、
「もしよろしかったら、店員さんを呼びましょうか？」

彼はそう声をかけてきた。

「はい、お願いします」

私が返事をしたことを確認すると、彼は手をあげて「すみませーん」と大きな声で店員を呼んだ。