人生の相棒~運命の人は突然に現れる~
始発が出る1時間前、私は絹子さんと一緒に孝太の見送りをするために玄関にきていた。

「本当にここでいいの?」

そう聞いた私に、
「亜月に無理をさせる訳にはいかないよ」
と、孝太は答えた。

「タクシーも呼んでいるし、ちゃんと駅まで行けるよ」

彼の言う通り、家の前には絹子さんが呼んだタクシーが止まっていた。

「向こうについたら連絡するから」

「うん、わかった」

「それと…」

孝太はそこで言葉を区切ると、
「いろいろと順番が違っちゃったけど…近いうちに、ちゃんと籍を入れよう。

龍太郎にもマネージャーにも事務所にもちゃんと話すから」
と、言った。

「うん、約束ね」

私は孝太の前に小指を差し出すと、彼は笑って自分の小指を私の小指と絡ませた。
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