人生の相棒～運命の人は突然に現れる～

孝太を避け始めて数日が経った夜のことだった。

「亜月、ちゃんと京橋さんと話してる？」

グレープフルーツジュースを差し出してきた絹子さんに言われて、私はギクッとなった。

「あー、それが…孝太も忙しいみたいで…」

私は返事をすると、絹子さんからグレープフルーツジュースを受け取った。

「忙しいの？」

「うん、忙しいみたい。

今日も深夜まで仕事が入ってるみたいだし…」

我ながらヘタ過ぎる言い訳である。

これじゃあ、孝太のことを避けているうえに話をしていないと言っているようなものだ。

「ふーん、そうなの。

売れっ子芸人も大変ね、深夜まで仕事なんて」

絹子さんは信じてくれたみたいだ。

よかったと心の中で呟くと、グレープフルーツジュースを口に含んだ。