手錠、そしてキスの雨を2
「今日は夕食、カレーでいいか?」

「う、うん」

手錠のついた手を引っ張られ、リビングへと連れて行かれる。リビングからキッチンはよく見えるので、私は伏黒さんが料理をしている様子をジッと見てるんだ。手伝いたいんだけど両手が使えないし、そもそも手伝わせてくれない。

「今度の日曜、非番だからどっか連れてってやるよ。行きたいとこ考えとけ」

料理しながら伏黒さんが言う。私は「わかった」と素直に返事を返していた。伏黒さんと出会う前は、仕事に備えて一日中布団の中にいることも珍しくなかったし、ちょっと前までの私だったら「仕事あるし疲れるのは嫌!」って言えていたかもしれない。でも、今はーーー。

伏黒さんが運転する車の助手席に乗って、少し遠出してみるのも悪くないかなと思っている自分がいる。本当、こういう気持ちが何なのか理解できないけどね。

手錠のついた両手を見つめながら、私はソファに座って行きたいところを考え始めた。



ソファに座る三恋都の姿をチラリと見て、陣平はその赤く染まった頬に胸を高鳴らせる。陣平は確信していた。三恋都の気持ちが少しずつ自分に傾いていることを……。

「早くそれが恋って気付け、馬鹿」

三恋都と同じように頬を赤く染め、陣平はボソリと呟いた。
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