仮面夫婦の子作り事情~一途な御曹司は溢れる激愛を隠さない~
「兄さん、今週は東京にいるので榮西の仕事を手伝います。父さんの手術は兄さん夫妻に任せてしまうけど」
「私は平気だと言ってるんだけどね」

お父様が言い、風雅も頷く。

「希帆が手術の日はここにいてくれるし、今後のことはこっちでできるから、優雅は心配しなくていいよ」

その会話にほっこりと温かい気持ちになった。三人しかいない家族、互いを思い合っているんだな。

「そうだ、優雅。今夜うちにメシ食いにこいよ。俺、久しぶりに作ってやるから」

風雅が兄らしく言う。優雅さんがちらっと私を見た。

「でも、新婚の家に、邪魔になるんじゃないですか?」
「いいえ、ぜひ遊びにいらしてください」

私も力強く言った。義弟をもてなすのは、長男の嫁として大事な仕事だ。



夕方に尋ねると約束し、優雅さんは所用をこなしに行ってしまった。私たちはお父様のお見舞いや手術の書類などを整理し、買い物をして帰る。

俺が作るからという風雅に夕食は任せてしまった。優雅さんが食べたいのは風雅の手作りごはんだと思うし。
風雅はやはり慣れたもので、豚の角煮と小松菜の辛し和え、大根のサラダ、味噌汁とごはんという和定食をあっという間に作り上げる。
悔しいが私よりずっと手際がいい。
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