【電子書籍化】世界で有名なパイロットに見つかった結果、ひとすじの恋から極上の結婚がもたらされました。
今わかることは一つ、絶対に日本人では無いという事だ。
整ったひとつひとつのパーツが、更に現実離れしている。
私の好み、どストライクだ。今まで会った男の誰よりも……。
「さぁ陽菜ちゃん、行こうか」
行くってどこに!?
正直、何も考えずに“はいっ”と返事をして着いていきたい。
だけど、見ず知らずの人に着いていくという事に躊躇する。
誰かも分からないのに……。
「あ、あの?」
「あ、これ陽菜ちゃんの分のお金」
はいっと勝手に飲み物代を置いて、見た目王子様な男は私の腕を取った。
「もう陽菜ちゃんに近づくなよ?」
私を背中に庇い、そう言ったこの人に不覚にもドキッとしてしまう。
引っ張られるままにお店を出て、その場から少し離れた。
「ちょっと、待ってくださいっ!」
「ん?」
私の引き止める声を聞いて、やっと止まってくれた。
掴まれている腕は離してくれないけれど――。
「で、あなたは誰ですか?」