クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
若干呆れが滲んだその空気を、「ぷ」という亮子の失笑が破った。

「まったく、ようやく本気になれる女性に出会えたのはいいけど、相当な令嬢に目をつけちゃったわね」
「俺はお目が高いんだよ」
「逆にハードルが高過ぎるのでは? 令嬢中の令嬢ですよ? さすがのあなたも釣り合うかどうか」
「おいおい、高田まできついこと言うなよ」
「すみません。ちょっと腹いせに」

と、冷ややかにくちと眼鏡を上げるみせる高田。

俺は専務席に背をどっしりと預け、脚を組んだ。

「どんな状況になろうが、俺はすべてを懸けてでもこの新規事業を必ず成功させる。そのためにはお前たちの力がますます必要だ。協力してくれるよな」
「もちろん、お供いたしますよ」
「しゃーないから、ついていってあげるわ」

即答してきた二人の声は明るかった。

さて、問題は芽衣子本人の方だった。
今のこの状況を知った時、繊細な彼女はどういう行動にうつるだろう。





< 118 / 232 >

この作品をシェア

pagetop