クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~



高層ビルの窓から一望できる夏の夕空も、だいぶ夜の闇が深くなってきた。

会議を終えて戻ってきた早々、俺はデスクワークを取り掛かっていた。
高田も亮子も別室で作業をし、芽衣子もまだ残っていた。

「専務。例の染物店と漆器工房店との打ち合わせの日程ですが、整いましたのでご報告いたします」

タブレットを持って芽衣子がやってきた。

今まさにその二件との打ち合わせの詳細をまとめていたところだった。
芽衣子が組んだスケジュールは十分余裕があるものだった。
少し肩の力が抜ける。
PCから離れ軽く伸びをすると、俺は芽衣子に微笑んだ。

「うん、この日程で十分だよ。面倒をかけてすまなかったね」
「いえ。あと、小早川様への返礼品についても、よいお店が見つかりましたので明日問い合わせしてみようと思います」
「そうか。早くて助かるよ。よろしく頼む」
「はい」

頼もしく返事する芽衣子。

秘書に就いて、まだ数日しか経っていない。
だが芽衣子は立派に業務をこなしているようだった。
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