クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
特に今日の扇子の件については、おおいに救われた。
さすが、岸議員のご息女。
教養を培うと同時に数々の一級品を与えられて審美眼も磨いてきたのだろう。
まさに手塩にかけて育て上げられた、どこへやっても遜色ない令嬢だ…。

「君も知っていると思うが小早川様はとても厳格な方で、今回の新規事業への賛同もようやく漕ぎ着けたものだったんだ。扇子一本でそれが水の泡となっては、さすがにダメージが大きかった」
「あの方が我が社の新規事業に賛同いただいていたとは、正直驚きました。芸道と商い事は相容れないというお考えをお持ちの方なので」

俺はパスワードを入力して一連の資料をタブレットに表示すると、芽衣子に渡した。

「まだ公にはしてないが、実は近々こういう事業を開始しようと思っていてね」
「『日本文化に特化したポータルサイト運営事業の立ち上げについて』…?」
「読んでそのままだよ。我が社は今後インターネット事業にも力を入れ、日本文化の振興と発展という企業方針をさらに具体化していくつもりだ」
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