クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
「…私は…私を支えようとしてくれているあなたのお役に立ちたいんです…」
「それってつまり…君にとって俺は特別な存在だと受け取っていいのかな」

芽衣子は一瞬押し黙ると、意を決したように俺を真っ直ぐに見つめた。

「そうです」

その漆黒の瞳に宿る熱に、俺は釘付けになる。

いつの間に、こんな目をするようになったのだろう。

その熱に煽られ突き上がってきた甘い感情に、俺の声は掠れてしまう。

「参ったな、すごい口説き文句だ。…ずるいよ、今は俺が口説いているのに…そんなことを言われたら俺は…」

肩に置いた手を滑らせ、身体のラインをなぞり、腰を引き寄せる。
あの夜のベッドの上の時のように、身体と身体が密着した。
かろうじて遮っているのは、俺の胸に戸惑うように当てた芽衣子の両掌だけだった。

「ドキドキしている」

「はい…」と芽衣子は俯いた。
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