クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
「幸せ、か。私達男は愛する者に対してそう使命感を抱く。しかし、私達が思い描く幸せが、相手が願う幸せと同じかどうかは分らないものだ」
…どういう意味だろう。
その言葉は、俺への窘めというよりかは、自嘲まじりの独り言のように聞こえた。
「芽衣子も君を好いているのだな」
「はい。芽衣子さんご自身も、本来は最初に自分が直接岸議員にお会いしてお話をすべきだとおっしゃっていました。ですが、こうなってしまったのは、私が一方的に芽衣子さんに好意を寄せてしまったのが事の発端です。まずは私が先にお会いしお詫びを申し上げるのが正当と思い、今日こうして芽衣子さんに内緒で伺いました」
「…そうか」
ふぅむ、と溜息のような調子で一呼吸置くと、岸議員は瞳に心なしか穏やかな色を浮かべて、俺を見つめた。
「君は何か勘違いしているようだ。別に私は君を責めるつもりはない。北村くんについては、娘と歳も近いし何より後ろ盾がしっかりとしているから、この先もあれを守ってやることを考えると、彼に託すのが妥当だと考えたまでのことだ。家同士のことや私の立場は関係ない。娘が君を選んだのなら、無理強いする理由はない。―――そもそも、君と娘のことは以前から知っていた」
え―――?
思いもよらぬ言葉に、俺は岸議員を凝視した。
…どういう意味だろう。
その言葉は、俺への窘めというよりかは、自嘲まじりの独り言のように聞こえた。
「芽衣子も君を好いているのだな」
「はい。芽衣子さんご自身も、本来は最初に自分が直接岸議員にお会いしてお話をすべきだとおっしゃっていました。ですが、こうなってしまったのは、私が一方的に芽衣子さんに好意を寄せてしまったのが事の発端です。まずは私が先にお会いしお詫びを申し上げるのが正当と思い、今日こうして芽衣子さんに内緒で伺いました」
「…そうか」
ふぅむ、と溜息のような調子で一呼吸置くと、岸議員は瞳に心なしか穏やかな色を浮かべて、俺を見つめた。
「君は何か勘違いしているようだ。別に私は君を責めるつもりはない。北村くんについては、娘と歳も近いし何より後ろ盾がしっかりとしているから、この先もあれを守ってやることを考えると、彼に託すのが妥当だと考えたまでのことだ。家同士のことや私の立場は関係ない。娘が君を選んだのなら、無理強いする理由はない。―――そもそも、君と娘のことは以前から知っていた」
え―――?
思いもよらぬ言葉に、俺は岸議員を凝視した。