クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
真意を探るように凝視し続ける俺の目を真っ直ぐに見つめ返して、岸議員はどこか自嘲めいた微笑を浮かべた。

「君が娘を秘書に取り立てたことも報告を受けていたし、それ以上の関係に発展したことも知っていた。だが、あれの真意は解からなかった。一方的に君に懸想されて押し切られている可能性もあるとな。しかし北村から『芽衣子自らが別の男を選んだ』と聞き、そして君からも芽衣子の意思を聞いて、確信が持てた」

そう話す目は、娘の成長を寂しく思いつつも嬉しくも感じている父親の目をしていた。
冷血でも支配的でもない、ただの平凡な一人の親としての。

何故だ。

俺は、憤りを覚えた。

そこまで芽衣子に関心を持ちながら―――大切に思っておきながら、何故『探らせる』なんてことを、こそこそとしているんだ。

まるで、娘とどう接していいか分からないかのように。

芽衣子はずっと、誤解していた。
この父親の想いを知ることなく、ずっと孤独だったのに―――。
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