クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
「その話は聞いたよ。『岸先生とプライベートで会うのは初めてだから緊張するわ~』って柄にもなく母さんがぼやいてたな」
「本当? ふふふ、お父様だって実はすごく緊張しているのよ? お母様は名だたる綾部ホールディングスの創始者である以前に、洗礼された大和撫子だから」
「大和撫子ねぇ。だとしても、すっかり枯れきった押し花かな」
「もう…! そんなこと言って。お母様に言いつけてやるんだから」
「おいおい、すっかり母さんの手下だな」
「ふふふ」
苦笑いを浮かべる雅己さんだけれど、その顔は本当に嬉しそうだった。
私が、お母様とすっかり実の親子のように打ち解けていることや、お父様ともしっかり絆を取り戻せていること。
そのことが嬉しくて、仕方がないようだった。
こうなれたのも、雅己さんのおかげなのに。
どこまでも優しく私を想ってくれる雅己さんのことが誰よりも愛おしくて、私の胸は甘い温かさで一杯になる。
「じゃあ今度は雅己さんも一緒に行きましょうね。お母様とお父様と一緒に、親子四人で…」
「そうだね」と、雅己さんは微笑んで、私の頬を優しく撫でた。
「なんだか、すでに親同士の対面も決まっていて、順番が入れ替わってしまっているのがなんともだな。でも―――」
雅己さんはおもむろに跪くと、首をかしげる私を愛おしげに見つめた。
そうして、小さな小箱を差し出した。
「今夜やっと君にこれを渡すことができる」
「本当? ふふふ、お父様だって実はすごく緊張しているのよ? お母様は名だたる綾部ホールディングスの創始者である以前に、洗礼された大和撫子だから」
「大和撫子ねぇ。だとしても、すっかり枯れきった押し花かな」
「もう…! そんなこと言って。お母様に言いつけてやるんだから」
「おいおい、すっかり母さんの手下だな」
「ふふふ」
苦笑いを浮かべる雅己さんだけれど、その顔は本当に嬉しそうだった。
私が、お母様とすっかり実の親子のように打ち解けていることや、お父様ともしっかり絆を取り戻せていること。
そのことが嬉しくて、仕方がないようだった。
こうなれたのも、雅己さんのおかげなのに。
どこまでも優しく私を想ってくれる雅己さんのことが誰よりも愛おしくて、私の胸は甘い温かさで一杯になる。
「じゃあ今度は雅己さんも一緒に行きましょうね。お母様とお父様と一緒に、親子四人で…」
「そうだね」と、雅己さんは微笑んで、私の頬を優しく撫でた。
「なんだか、すでに親同士の対面も決まっていて、順番が入れ替わってしまっているのがなんともだな。でも―――」
雅己さんはおもむろに跪くと、首をかしげる私を愛おしげに見つめた。
そうして、小さな小箱を差し出した。
「今夜やっと君にこれを渡すことができる」