クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
これは…。
私にだってわかる―――。

じわりと、涙腺が緩んだ。
けれど、その小箱が開くまでは、彼の愛の言葉を聞くまでは、けして泣いてはいけない。

「早く渡したくても、特注にしたから納品に時間がかかってしまって、もどかしかったよ。ようやく、君に申し込むことができる」

そうして開かれた中には、夜景よりもなお美しい銀の指輪が、眩い輝きを放っていた。

「芽衣子。俺と結婚してください」

堪えきれず、ついに私の頬に涙が零れ落ちた。

「もちろんです…。末永く一緒にいさせてください」

雅己さんはそっと指輪を外すと、私の手を取って恭しく指に通した。

まるで収まることが決まっていたかのようにすんなりと入ったその永遠の輝きは、私の指の上でよりいっそう尊い輝きを放った。

「ありがとう。すごく綺麗…」

ほろほろと涙を零しながら笑う私を、雅己さんが居ても立ってもいられないとばかりに抱き寄せた。

「愛してる。芽衣子、愛してる…」
「私も…」

しゃっくりを上げながら、私も必死に伝える。

「愛してます、雅己さん。あなたに出会えて、私は本当に幸せです」

頬を包まれて、キスが落ちてくる。

優しく啄むようだったそれは、すぐに激しいものに変わる。
雅己さんは飢えたように私の唇を貪り、私もまた熱に浮かされたように夢中でその愛に応じる。

ベッドに倒れ込み、雅己さんはなおも私の唇を求めたまま、私の衣服をもどかしげに脱がし始めた。
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