クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む～運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です～

カフェと言っても、茶房紫庵のスタイルは一風変わっていることが売りだった。

「茶会の場に身を置くような安らぎ、充実感を提供する」というコンセプトのもと、落ち着きのある和風モダンで店装を一貫し、従業員教育にも力を入れ、もちろんメニュー開発も徹底している。
そこにさらに一味加えたのが和装コードシステムで、和装で来店すると割引を受けることができたり専用メニューが注文できるしくみになっている。

京都で出した一号店が外国人観光客にうけたことを皮切りに、東京に進出し、新しいもの好きの若者にも受け入れられた。
そこに合わせて、もっと気軽に和装を楽しんでもらうおうとオリジナルの和服アパレル事業を始め、カフェとのコラボに力を入れた結果、両事業とも成功し今や我が社の主力となった。

街では気軽に着物や着物をリメイクした服装を楽しむ若者が街に増え、我が社は「和装ブームの火付け役」などとメディアでも持ち上げられ、日本文化復興の立役者と称賛されるにまでなった。

そのカフェ事業が、ここ最近低迷していた。
店舗拡大に伴いこういった問題はつきものだが、早急な対策を練るべく、カフェ事業を主に任されている俺自らが実地調査を行うことにした。