クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
謙遜して目を伏せる私を、二人は気さくな眼差しで見守ってくれる。
その温かさがとても心地よい。

「育ちのいいお嬢さん」とは半分的をついていて、世間知らずの「箱入り娘」で育ってきた私は、これまで働くことになかなか馴染めずいろんな業種の職場を転々とした。
このお店はそんな私がやっと見つけることができた、輝ける場所だった。

けれども、もう間もなく去らなければならないけれど…。

「あ、そういえば店長、私もお聞きしたいことが…! 飾り花の注文なんですけれど…」

落ち込みそうになるのをこらえて、私は話を変えた。
店長はすぐに顔色を変えて「あの注文ね、忘れてた!」と事務室に駆け込む。
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