クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
「…もっともっと君を変えたいって言ったら、困る?」

答えを聞く前に、俺は彼女に口付けした。
深く、熱く、荒々しく―――こんな濃密なキスは昨晩なんども施したけれど、俺の舌の動きにまだいちいち震えて翻弄される可憐さが愛らしい。
たまらず抱き締めてしまうと、観念したように俺の腕に身をゆだねて、俺が与える快感を素直に受け入れて甘い声を漏らし始める。

「俺は君にとっくに変えられてしまったよ。俺は、もう君を離せそうにない」

戸惑いと欲情が入り混じった黒い瞳を見つめて、俺は告げる。

「もう、君しか抱けない。この言葉の意味、解かる?」
「待っ…て、っん」

キスで言葉を封じ、押し倒して愛撫で蹂躙する。俺が開かせた蕾が閉じてしまわないように。綺麗に咲かせて、永遠に愛でるために。

今は欲情に痺れている。
彼女を染めるつもりでいながら、むしろ俺が彼女に吸い取られて虜になっている。

朝が来たら、必ず彼女に愛を告げて、一生俺のものにする許可を乞う。

そんな誓いを掲げながら、俺は一晩中、欲望のままに彼女を愛し尽くした。

だが、翌朝。
彼女はいなくなっていた。
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