クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
訝しがる店長とみんなに簡単に挨拶し、事務室を出る。
従業員用入口から出ようとドアを開けると、雨が降っていることに気付いた。
バッグに常備している折りたたみ傘を出そうとして、はっとなった。
傘は無かった。
そう―――数日前に来店された男性のお客様に貸したきりだったのを、忘れていた―――。
「やぁ、お疲れ様」
不意に夜闇から声が聞こえたかと思うと、私の前に傘を差した背の高い男の人が立ち塞がった。
スーツ姿が魅惑的に似合っているその彼は、今夜は眼鏡をかけていたが、誰かはすぐに解かった。
波多野雅己。
綾部ホールディングスの次期代表取締役。
そして、私を抱いた初めての人―――。
従業員用入口から出ようとドアを開けると、雨が降っていることに気付いた。
バッグに常備している折りたたみ傘を出そうとして、はっとなった。
傘は無かった。
そう―――数日前に来店された男性のお客様に貸したきりだったのを、忘れていた―――。
「やぁ、お疲れ様」
不意に夜闇から声が聞こえたかと思うと、私の前に傘を差した背の高い男の人が立ち塞がった。
スーツ姿が魅惑的に似合っているその彼は、今夜は眼鏡をかけていたが、誰かはすぐに解かった。
波多野雅己。
綾部ホールディングスの次期代表取締役。
そして、私を抱いた初めての人―――。