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「ねぇ、2人ってもしかして」


私達のやりとりを一番近くで見ていた多美子が目を丸くして私と旭を交互に見つめてくる。


「うん。付き合ってるんだ俺たち」


返事に困っている私を尻目に旭は堂々と返事をする。


次の瞬間驚きの声を上げたのは多美子だけじゃなかった。


私達の会話を盗み聞きしていたクラスメート全員から悲鳴のような声が漏れる。


「ちょっと旭」


「いいじゃん知られたって。もしなにかあっても、俺柔道の有段者だよ?」


旭はそう言うと満面の笑みで型を作って見せた。


その素早く力強い身のこなしは本物だ。


私は苦笑いを浮かべて「そういうことになったの」と、多美子に説明したのだった。
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