追体験アプリ
☆☆☆

なんだかあのアプリがダウンロードされてからすべてがすごく順調だ。


いじめっ子への復讐はもちろん、彼氏までできてしまった。


これであの3人は私にそう簡単には手出しできなくなるはずだ。


暴力や金銭の要求が始まっていた時期なので、ひと安心ということろか。


これから私のまともな学校生活が始まってくれるはずだ。


「ねぇ井村さん、黒坂くんと付き合ってるって本当!?」


休憩時間中、あまりしゃべったことのないクラスメートが声をかけてきた。


その顔には羨望の眼差しが浮かんでいる。


「う、うん」


旭は私との関係を全然隠そうとしないため、すでにクラスの外にまで知れ渡ってしまっていた。


こうして私に声をかけてくる子も沢山いる。


「すごいじゃん! ねぇ、一体どうやったの!?」


「どうって、私はなにも……」


「私知ってるよ、黒坂くんが井村さんに一目惚れしたんでしょう!?」


「え、そうなんだ!? じゃあ絶対に私じゃ無理じゃん!」


キャアキャアと黄色い声を上げながらも私を罵倒するような言葉は聞こえてこない。


旭が柔道有段者ということで誰も私を傷つけようとはしてこないみたいだ。
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