追体験アプリ
☆☆☆

旭と歩いているとやっぱり目立つ。


2人で手をつないで教室を出た瞬間から、駅前のドーナツ店に行くまでずーっと誰かからの視線を浴びていることになってしまった。


旭は人に見られることがなれているようで、全然気にせずに足をすすめる。


けれど私は人の視線になれていなくていちいち誰が見ているんだろうと立ち止まって確認してみたくなってしまった。


「ここのドーナツ美味しいらしいね? クラスの男子に聞いたんだ」


「へぇ、そうなんだ」


「有紗は来たことないの? クラスメートの……えっと」


「多美子?」


「そうそう、安倍さんと」


多美子と私はつい最近仲良くなったばかりで、1度休日に水族館に行ったが、それきりだ。


放課後に遊びに出たこともない。


「うん」


私は短く返事をしてうつむいた。


できれば旭にはイジメられていることは知られたくない。
< 111 / 170 >

この作品をシェア

pagetop