追体験アプリ
空にも星はひとつもみえなかったが、これはおかしなことではなかった。


なにせついさっきまで大雨が降っていたのだ。


空は真っ暗で雨ばかりがおりてきていることはわかっていた。


だけど今その雨はピタリとやんで闇だけが広がっている。


「どうなってるの?」


いつもの様子とは違って、私は自分の体を抱きしめて身震いをした。


なんだか少し嫌な感じがする。


早くベッドへ戻って眠ってしまったほうがいいという気もする。


だけど視線は暗い夜空に固定されたままで、なかなかベッドへ戻ることができなかった。


そのときだった。


真っ黒な夜空の中に、ひときわ黒い点が見えた。


私は目を凝らしてそれを見つめる。


あれはなんだろう?


そう思っている間に黒い画用紙の一点だけを更に黒く塗りつぶしたようなソレが、どんどん近づいてきていることに気がついた。


「星?」


近づくにつれてソレが黒く輝き、流れていることがわかってきた。


流れ星?


それにしてはやけに遅い速度だ。


一体なんだろう?
< 12 / 170 >

この作品をシェア

pagetop