追体験アプリ
「きっと有紗は選ばれたんだよ。ダウンロードだって、勝手にされていたんでしょう?」


私は頷く。


緊張と恐怖で喉が張り付きそうだった。


呆然と自分のスマホを見つめていると、突然アプリからの通知が来てその場で飛び上がってしまった。


「通知、なに?」


「えっと」


多美子に言われて画面を確認すると、そこには赤い文字が表示されていた。


《一週間使用がなかった場合、自動的に追体験が実行されます》


「なにこれ……」


今度こそ背中に冷たい汗が流れていった。


「こんなことさっきの説明には書かれてなかったね」


私は頷く。


ここ一週間はとても平和で、復讐するようなことも起こっていなかったから、このアプリを使う必要もなかったのだ。


「とにかく、このアプリは多美子にはダウンロードできないってことがわかったから、私がずっとそばにいてあげるから」


今はアプリより多美子が優先だ。


私はスマホを自分のポケットにしまい込んだのだった。
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