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「あいつと別れたんだろ?」


太一の言葉に舌打ちをする。


旭は付き合うことも別れることも隠さなかった。


クラス内でも私達が別れた話題は持ちきりだった。


「だからなに?」


「またイジメられたのかと思って」


その言葉に私はギュッと目をつむった。


思えば太一は私がイジメられていたとき毎回のように姿を見せた。


ストーカーではないかと疑ったくらいだ。


「なるほど。今度はイジメられる前に止めにきたわけ?」


聞くと太一は頷いた。


いつもいつも私が痛い目を見てから姿を見せていた太一も、少しは頭を使ったみたいだ。


「残念、今回は私じゃないの」


そう言うと太一は首をかしげた。


「多美子がターゲットになってる。いつもの場所で」


太一の視線が泳いで、体育館裏へと向かった。


「本当は私が助けようと思ったんだけど、旭と別れちゃったから復讐されるかもしれない。太一が助けに行ってくれる?」


我ながら名案だった。


太一が助けに行けば私がイジメられることはない。


「わかった」


太一は快く頷いてくれたのだった。
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