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右手にスマホ、左手にはカッターナイフを持っている。


あの3人の中のリーダーは真純だ。


真純を攻撃することが一番手っ取り早く復讐を終わらせることにつながってくる。


私は大きく息を吸い込んで吐き出した。


トイレの消臭剤の匂いが鼻腔を刺激して顔をしかめる。


力は込めなくていい。


ほんの少し、ちょっとだけ傷つけばいい。


私は左手に持っているカッターナイフを右手の甲に押し当てた。


真純はいつも手鏡を見ている。


それは自分の容姿に自信のある証拠だと私は思っていた。


その容姿を傷つけることができたら、どれだけ真純は傷つくだろうか。


本当は顔面を切り裂いてやりたかったけれど、さすがに顔の同じ場所に傷があると怪しまれてしまいそうなので手の甲を切ることにしたのだ。


右手の甲の押し付けたカッターナイフをゆっくりと動かすと、皮膚に傷が入ってジワリと血が滲んで浮かんでくる。


痛みに顔をしかめて奥歯を噛み締めた。


このくらいの痛みどうってことはない。


私はもっともっと深い傷をあの3人に負わされてきたんだから……!
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