追体験アプリ
☆☆☆
カットバンで手の甲の傷を隠して教室へ戻ると授業開始の1分前になっていた。
自分の体を傷つけることはさすがに抵抗があって、時間がかかってしまったのだ。
「セーフ」
慌てて席へつくと旭がそう言って笑った。
変わらない笑顔をみせてくれる旭に胸の奥がジワリと暖かくなる。
同時にこんないい人を振ってしまったのだという罪悪感が溢れ出してきて、顔を伏せた。
今の私はまだ旭に笑いかけてもらう資格なんてない。
そう思い、教科書と筆記用具を机の上に並べたのだった。
それは授業開始から15分ほど経ったときのことだった。
先生から配られたプリントを眺めていると後ろの方から紙を切る音が聞こえてきて振り向いた。
真純がカッターナイフでプリントと切っている。
きっと必要なところだけ切り取ってノートに貼り付けるつもりなんだろう。
私は真純の右手に握られているオレンジ色のカッターナイフをマジマジと見つめた。
力が入りすぎているようでそれは小刻みに振るえているのだ。
「真純、どうしたの?」
隣の席の夕里子が異変に気がついて声をかける。
しかし真純は返事をせずにカッターでプリントを切り続ける。
プリントの必要な部分まで切り裂き、更にそれを細かく切り刻む。
手には更に力が入りプリントの下のノートまで一緒になって切れているのがわかった。
カットバンで手の甲の傷を隠して教室へ戻ると授業開始の1分前になっていた。
自分の体を傷つけることはさすがに抵抗があって、時間がかかってしまったのだ。
「セーフ」
慌てて席へつくと旭がそう言って笑った。
変わらない笑顔をみせてくれる旭に胸の奥がジワリと暖かくなる。
同時にこんないい人を振ってしまったのだという罪悪感が溢れ出してきて、顔を伏せた。
今の私はまだ旭に笑いかけてもらう資格なんてない。
そう思い、教科書と筆記用具を机の上に並べたのだった。
それは授業開始から15分ほど経ったときのことだった。
先生から配られたプリントを眺めていると後ろの方から紙を切る音が聞こえてきて振り向いた。
真純がカッターナイフでプリントと切っている。
きっと必要なところだけ切り取ってノートに貼り付けるつもりなんだろう。
私は真純の右手に握られているオレンジ色のカッターナイフをマジマジと見つめた。
力が入りすぎているようでそれは小刻みに振るえているのだ。
「真純、どうしたの?」
隣の席の夕里子が異変に気がついて声をかける。
しかし真純は返事をせずにカッターでプリントを切り続ける。
プリントの必要な部分まで切り裂き、更にそれを細かく切り刻む。
手には更に力が入りプリントの下のノートまで一緒になって切れているのがわかった。