追体験アプリ
☆☆☆

こんなにうまくいくとは思っていなかった。


私は自分の右手の甲をさすって微笑む。


うすーくちょっと血が流れただけの右手の甲。


それだけであんなことになるなんて。


血溜まりができた真純の机はすでにキレイに掃除されていたけれど、あのときの衝撃はまだ教室の中にとどまっていた。


真純の奇行のおかげで授業は自習になったが、みんなとても静かでまじめに机に向かっている。


そんな中私は夕里子へ視線を向けた。


夕里子もさっきからなにもしゃべらず黙々と課題を片付けているように見える。


だけど顔色は悪いし、さっきからちっともペンが動いていないことを、私は見抜いていた。


友人2人が悲惨な目にあったのだから沈み込んでしまう気持ちもよくわかる。


だけど夕里子1人だけ許すわけにはいかなかった。


ちょっとまっていてね。


すぐに夕里子も不幸のどん底に落としてあげるからね……
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